この度、弊社社員が令和4年度中部地方発明表彰において発明奨励賞を受賞いたしました。
賞名 | 発明名称 | 発明者名 |
発明奨励賞 | 少数位置温度測定による旋盤の熱変形補正 (特許第4450722号) |
生産本部 技術部 金子 義幸 |
※本発明は、金沢大学 立矢教授との共同発明です。
発明の概要
少ない温度測定点による工作機械の熱変形量推定方法を確立しました。
この方法では、工作機械の主軸や刃物台駆動部などの主要熱源部と周囲環境温度を温度測定点とします。
主軸部、刃物台部の変形量をそれぞれ独立した予測式で計算し、重ね合わせの原理で必要な補正量を算出することで、予測式の演算に用いる測定点を必要最小限にし、きわめて簡便な熱変形予測式で補正が行えます。
従来の課題とニーズ
生産現場の省人化・自動化へのニーズの高まりと同時に、工作機械の高精度化への要求も日に日に高まっています。
一方で工作機械の加工精度は熱変形により大きく左右されることから、熱変形による経時変化の低減はきわめて重要な課題といえます。
従来、多数点の温度測定による補正技術は多く見られますが、温度センサのコスト増大や故障要因の増加、さらには補正式の複雑化などがネックとなってきました。
本発明では、そうした課題を解決するために、「温度測定点数の最小化」と「簡素化された熱変形補正式による予測」を可能にしました。
発明の特徴とメリット
機械の熱変形量の予測式に用いる温度測定点は、統計学を利用することで効率的に絞り込み、決定することができます。
機械各部の温度変化は、CNC装置に入力、予測演算を行うことで、刃物台の送り軸モータへフィードバックされる仕組みです。
こうした熱変形予測・補正システムの適用により、工作機械の暖機運転に必要なエネルギーの低減や、加工精度不良による廃棄部品の削減といった効果も期待できます。
本特許技術は、熱変位補正システム「サーモニー®」に用いられており、「XTS-6」や「XW-60」など多彩な機種に搭載が可能です。
※搭載機種は随時追加予定です。