この度、弊社社員が令和5年度中部地方発明表彰において発明奨励賞を受賞いたしました。
賞名 | 発明名称 | 発明者名 |
発明奨励賞 | 少動作で搬送時間を短縮するローダシステム (特許第5955239号) |
工作機械事業本部 技術部 浅井 隆平 |
発明の概要
自動化された工作機械において、生産性向上のためにはワーク(被加工物)搬送時間の短縮が課題となります。
そのためにローダ(搬送装置)の移動速度を速くすることが主な手法ですが、速度を速めると機械の振動が大きくなり、加工精度を悪化させるという問題があります。
そこで本発明では、搬送時に必要な動作を減らすことにより、ローダの速度を変えずに搬送時間の短縮を可能としました。
従来の課題とニーズ
働き方改革や人手不足により、生産現場ではより一層の自動化・生産性向上が求められています。
特に、ワーク1個あたりの生産にかかる時間(加工時間+ワーク搬送時間)である「サイクルタイム」の短縮が重要視されています。
サイクルタイム短縮の一般的な方法としては、ローダ移動速度の高速化が挙げられます。
しかし、ローダの移動速度を上げると加減速時に振動が発生し、加工精度に影響を及ぼすという難点がありました。
生産性向上のためには、不良品の発生を抑えつつ生産数を増やす必要がありました。
発明の特徴とメリット
1台のベッドに主軸と刃物台を2個搭載した2スピンドル旋盤には、工作物の表裏の加工を一台で行うためにワークの「反転装置」が搭載されています。
本発明では、ローダと反転装置のチャックの配置と間隔を等しくすることで、ローダから反転装置、反転装置からローダへのワークの受け渡しを同時に行います。
それにより中間反転時の動作回数を減らし、搬送時間の短縮を可能にしました。
本発明により、サイクルタイムは従来構造の20秒から17.9秒に短縮。(下図のようなローディングサイクルの場合)
生産量にすると、1日あたり170個、年間では41,650個もの差が生まれ、稼働日数では1か月以上の差となります。(1日8時間、245日稼働の場合)
またローダの移動速度は従来のままサイクルタイムを短縮できるため、振動による不良品を増やすことなく生産性を向上させることができます。
不良品の低減により、加工前の素材の無駄を削減でき、加工時間も短縮できることから省エネルギーにもつながります。
本特許技術は、2スピンドル2タレットCNC旋盤「XW-130」、「XW-130M」、「XW-60」、「XW-60M」に採用されており、XW-130の後継機である「XWT-8」にも本技術が引き継がれています。