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2021.09.29

金属加工とは?主な種類と加工方法を分かりやすく解説!

金属加工の画像

現代において、「金属」は生活に欠かせない存在であり、身近なものとなっています。「自動車」「家電」「調理器具」など、普段何気なく使用している多くの「機械」や「機器」は、金属を使って作られています。

今回は、金属製品を生み出す加工について、その方法や特徴を分かりやすく解説します。

私たちの生活に欠かせない金属製品

私たちは、毎日たくさんの金属製品に囲まれて暮らしています。中でも、もっとも身近で生活に欠かせない機器に「スマートフォン(以下、スマホ)」が挙げられます。

この「スマホ」一つ取ってみても、色々な種類の金属が使われています。「鉄」「チタン」「リチウム」「マグネシウム」「金」「銅」など…どれも一度は聞いたことがある名前ですね。

このように異なる種類の金属がさまざまな形で使用され、「スマホ」という一つの製品が出来上がっています。

スマホに使われている金属

金属加工とは

金属で「機械」や「機器」といった製品を作るには、各々に適した形にする必要があります。そのためには、製品に適した材料を選び、最適な設計を行う必要があります。

先ほどのスマホを例に考えてみましょう。

スマホの本体の多くは、金属の持つ特性や特徴を基にした合金を材料として作られています。

その材料をもとに、各メーカが独自性や使いやすさなどを考慮して、製品の設計を行います。その結果、出来上がった製品は各社さまざまな形をしています。

もとの素材を設計された形に変えるためには、材料に「工作(手)を加えて形にする」ことが必要です。この作業を「加工」と言い、特に金属材料に行うことを「金属加工」と言います。

金属加工の種類

金属加工は、主に「付加加工」、「成形(変形)加工」、「除去加工」の3種類に分類されます。それぞれの分類について、見ていきましょう。

 

付加加工 被覆加工 ペンキ塗装
金メッキ
接合加工 接着
溶接
成形(変形)加工 固体外状態で成形(変形)する加工 鋳造・射出成形
圧結
固体状態で成形(変形)する加工 鍛造
圧延
打ち抜き
曲げ
焼結
除去加工 機械的除去加工 切削
研削
熱的除去加工 溶断
熔解
電気熔解
レーザー
化学的除去加工 腐食(化学反応)

付加加工

付加加工」は、要素に要素を加える加工のことを指します。具体的には以下のような加工方法があります。

  • 被覆加工
    • ペンキ塗装…金属表面に塗料を塗り、色を付けたり表面を保護したりする加工法。スプレーなどで塗布します。
    • 金メッキ…真鍮などの金属表面に、電気の力を利用して薄膜上の金を貼る方法です。
  • 接合加工
    • 接着…異なる金属を溶かして、素材同士の間に流し込んで接合する方法です。金属接着剤を使う場合もあります。はんだ付けやろう付けが代表的です。
    • 溶接…金属素材自体と、接合用の材料を溶かして接合する方法。アーク溶接・TIG溶接・MIG溶接・MAG溶接があります。

金属を溶接している作業員

成形(変形)加工

成形(変形)加工」は、要素を成形(変形)させる加工のことです。個体以外の状態固体状態で成形する方法があります。

  • 固体外状態で成形(変形)する加工
    …料理に例えると、板チョコに一度熱を加えて液状にし、別の型に入れて冷却して固める作業にあたります。

    • 鋳造・射出成形…加熱して溶かした金属を砂などで作った型に流し込み、固めた後、目的とする製品に加工する方法です。
    • 圧結…金属の粉末を型に入れて圧力をかけ、成形する方法です。落雁(らくがん)作りに例えることができます。

チョコレートづくりは金属の成形加工に例えられる

  • 固体状態で成形(変形)する加工
    …料理で言うと、クッキー作りが当てはまります。
    生地をこねる(鍛造)→生地をのばす(圧延)→型を抜く(打ち抜き)→焼く(焼結)

    • 鍛造…工具や金型を用いて、金属素材を叩いたり押したりし、目的の形にする加工法です。
    • 圧延…回転する2本のロールの間に金属素材を通すことで、圧縮し薄く延ばす加工法です。
    • 打ち抜き…工具を用いて、板状の金属を目的の形状に切り抜く加工方法です。
    • 曲げ…板金加工でもっとも基本的な加工法で、ステンレスやアルミなどの板材を金型に押し付けて曲げる方法です。
    • 焼結…金属の粉末を型などで成形し、焼き固める方法です。

クッキー作りは金属の成形加工に例えられる

除去加工

除去加工」は、要素から不要な部分を取り除く加工です。その特徴により、大きく3種類に分けることができます。

  • 機械的除去加工
    …刃具や工具を用いて不要部分を除去する加工。りんごなどの皮むき(不要な部位を取り除く作業)と同じです。

    • 切削…金属素材に工具を押し当て、不要部分を削り取る加工方法です。
    • 研削…砥石を用いて金属表面をわずかに削り、工作物を仕上げる加工方法です。

除去加工はりんごの皮むきに例えられる

  • 熱的除去加工
    …熱を加えて不要部分を除去する加工。料理に例えると、熱を加えて菌を除去する、煮沸殺菌が当てはまります。

    • 溶断…金属を加熱により溶かして切断する加工です。
    • 熔解…熱を加えて金属を液状にする加工法です。
    • 電気熔解…電気の力によって、金属を液状にする方法です。
    • レーザー…レーザー光を加工部に向けて照射し、その熱により材料を溶かして加工する方法です。

金属のレーザー加工

  • 化学的除去加工
    …缶詰工場などで、蜜柑などの缶詰を作る際に、皮をむく工程で使用する方法が当てはまります。

    • 腐食(化学反応)…化学薬品を用いて、その腐食作用により材料を溶かして不要部分を除去する方法です。

 

このように、「付加加工」、「成形(変形)加工」、「除去加工」大きく分けて3種類の加工を単独または組み合わせて用いることで、金属を目的の形にします。これらの加工は、人間の手作業で行うこともあれば、機械で行う場合もあります。

機械加工に欠かせない「工作機械」

金属は、「強い」「硬い」といった特性から、色々なものに使用されています。

その特性上、多くの部品は製作する際に大きな力が必要であり、人間の力だけでは難しいことがほとんどです。そのため多くの場合、金属を加工する際には、機械が用いられます。

機械を用いて加工を行うことを「機械加工」と言います。

工作機械による機械加工

「加工」とは「工作(手)を加えて形にする」ことを表すので、加工を行う機械のことを「工作機械」と呼びます。工作機械は、金属加工には欠かせない機械です。

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まとめ

身の回りの多くのものに使用され、今や生活に欠かせない存在となった金属。さまざまな機械や機器が金属から生み出され、もはや金属加工なしでは現代の生活は成り立たないと言われています。

また金属の特性から、多くの金属加工では、人間には生み出せない大きな力を伝えることができる「工作機械」を用います。製造工場などに勤務しない限り、ほとんどの方は工作機械を見る機会はないかもしれません。しかしこの工作機械がないと、普段目にしている金属製品のほとんどが加工できないのです。

次回は、現代の生活に欠かすことのできない存在である「工作機械」について、詳しく解説していきます。