製造現場に工作機械を導入・設置する際、機械の加工性能を最大限発揮させるためにとても重要なのが、「機械の設置環境」です。

具体的には、基礎（地盤）や、温度・湿度、振動といった項目について、十分に考慮する必要があります。

今回は、こうした機械の命ともいえる設置環境について徹底解説！

理想的な設置環境を作るうえで注意すべきポイントをご紹介しますので、工作機械の導入時にぜひ参考にしてみてください。

加工精度の安定には機械の設置環境が重要！

工作機械には「母性原理」という特性があり、使用する機械の精度が加工部品の精度にそのまま反映されます。

つまり、高精度な加工には高精度な工作機械が不可欠です。

その工作機械の精度には、機械を設置する周囲の環境が大きく影響します。

特に温度や振動といった自然環境には常に留意し、必要に応じて対策を取ることが重要です。

工作機械設置時に考慮すべきポイント

工作機械を設置する環境において、温度や振動に特に留意する必要があることは前述のとおりです。

以下では、機械の理想的な設置環境について、高松機械の製品導入時にご案内している基準をもとに解説します。

基礎（地盤）

工作機械を設置する基礎（地盤）は、加工精度の要となる非常に重要な部分です。

据付地盤としては、十分な地耐力があり勾配や凸凹がないことが望ましいです。

加工精度を長く維持するためにはその場所に適した基礎が必要であるため、一般的にはメーカが指定した基礎図に基づき基礎を施工します。

高松機械製品の納入時には、300mm以上のコンクリート上に機械を設置することを推奨しています。

機械本体の設計により、地盤がしっかりしている場合は基礎工事を行なわなくても支障はありませんが、下記の場合には基礎工事の実施が必要です。

• 地盤が柔らかく、機械据付後、土地の沈下や傾きが予想される場合
• より高精度、高性能な加工を行いたい場合

温度・湿度

「温度・湿度」も加工精度に大きな影響を及ぼす要因の一つです。

温度・湿度が一定でない環境では、機械の加工性能を十分に発揮することはできません。

季節による寒暖差や室内/屋外による温度差など、温度変化の少ない場所に機械を設置することが重要です。

高松機械では、下記のような環境を推奨しています。

• 風の当たらない場所（空調機の空気吹き出し口付近などを避ける）
• 直射日光、熱源などによる局部的温度上昇のないところ
  ※ 周囲温度は0～45度（推奨20度±2）毎分1度以下の変化であること
  ※ 周囲温度が40度以上の環境で機械を使用する場合は、モータなどがオーバーヒートしないように、機械にかかる負荷（切削条件など）を緩和すること
• 湿度は75%以下で結露がないこと

振動

設置場所周辺の振動についても十分に留意する必要があります。

工作機械での加工時、振動の発生は避けられませんが、振動が大きい場合、加工面・加工品位に大きな影響を与えます。

プレス、鍛造機などによる大きな振動の伝わらないところに機械を設置するのが望ましいです。

周辺の機器からの振動はもちろん、周辺機器に与える振動にも留意し、必要に応じて機械の周りに防振溝を設けるなどして防振対策を行います。

電源・エア源

適切な容量が供給できる電源・エア源も準備する必要があります。

【電源】

正常な電圧が供給されないと、機械が正常に機能しないなどのトラブルの原因となります。

必ずテスターで測定し、電圧変動が±10%を越える場合は、定電圧装置が必要です。

※ケーブル・接地条件は機種により異なるため、導入時に製品の取扱説明書をご参照ください。

【エア源】

高松機械製品の導入時に推奨するエア源の圧力・吐出量は以下の通りです。

• 圧力：0.5MPa
• 吐出量：5.82NL／回

圧縮エアは、清浄で乾燥したものを使用します。

エアに汚れや水分が含まれている場合、エア機器が破損する恐れがあります。

※他の設備と兼用する場合は、圧力低下が生じないよう注意が必要です。

まとめ

今回は、工作機械を導入する際に留意すべき「機械の設置環境」について解説しました。

加工精度に大きな影響を与えるあらゆる自然環境への対策が必要であることがお分かりいただけたかと思います。

工作機械を長く、精度よく使用していただくために、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。