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2023.02.02

NC旋盤とは?汎用旋盤やマシニングセンタとの違いについて解説!

身の回りのあらゆる工業製品を生み出すために使われる工作機械。マザーマシンとも呼ばれ、私たちの生活を陰で支えています。

今回はその中でも、高松機械工業が製造する「NC旋盤」という工作機械について取り上げます。

NC旋盤とはどのような機械なのか、汎用旋盤やマシニングセンタとの違いとともに解説します!

旋盤とは?

前回の「工作機械とは?」の記事でも述べた通り、あらゆる機械を構成する部品を作り出す際、工作物を目的の形状に加工するために使われるのが「工作機械」です。

旋盤はその工作機械の一種です。

その他、主な工作機械には「フライス盤」や「研削盤」があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

  • 旋盤…回転させた工作物に刃物を押し当て、不要な箇所を削り取る工作機械。丸棒状の部品の加工を得意とします。
  • フライス盤…工作物に回転させた刃物を押し当て、不要な箇所を削り取る工作機械。角形状の部品の加工を得意とします。
  • 研削盤…旋盤やフライス盤で加工した仕上げ面を、砥石を使ってきれいにする工作機械。

工作機械の種類

また詳細は後述しますが、フライス盤にNC装置・自動工具交換機能を搭載した「マシニングセンタ」という工作機械もあります。

旋盤(NC旋盤)と並び、工作機械群の中核を担うマシンです。

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NC旋盤とは?

工作機械には、人の手でハンドルを回して操作する「汎用工作機械」とNCプログラムを入力して操作する「NC工作機械」があります。

NCとは「Numerical Control(数値制御)」の略で、「NC旋盤」は機械の動作を指令するNCプログラムによって、刃物や工作物の位置を正確に動かしながら加工を行う旋盤のことをいいます。

NC旋盤と汎用旋盤の違いとそれぞれの特徴

NCプログラムで操作するNC旋盤に対して、手動でハンドルやレバーを動かして操作する旋盤を「汎用旋盤」といいます。

NC旋盤と汎用旋盤の違い

汎用旋盤は人の手で操作するため、単品加工を短時間で行えたり、修正加工に向いている反面、複雑な形状の加工は苦手とします。

NC旋盤は、NCプログラムさえ作成してしまえば自動運転が行えるため、量産加工に適しています。また人の手では難しい曲面や複雑な形状の加工も得意です。一方で、NCプログラムの作成には一定の知識が必要で、加工前の段取りにも時間を要します。

NC旋盤とマシニングセンタの違い

主な工作機械の一種として、工作物に回転させた刃物を当てて削る「フライス盤」を挙げました。

NCプログラムで操作するフライス盤をNCフライス盤といいますが、これにATC(自動工具交換装置)を加えたものを「マシニングセンタ」といいます。

NC旋盤とマシニングセンタの違い

つまり、NC旋盤もマシニングセンタもNCプログラムで操作するという点では共通していますが、NC旋盤では工作物を回転させるのに対し、マシニングセンタは刃物を回転させ、さらにATCが付いているという大きな違いがあります。

※ATCを搭載したNC旋盤も一部メーカから発売されています。

NC旋盤とCNC旋盤はどう違う?

NC」とは、「Numerical Control(数値制御)」の略で、機械の動作を数値情報で指令する制御のことをいいます。

NC旋盤が世に出始めた頃は、個々の基盤を組み合わせた制御装置が用いられていました。

その後、コンピュータで数値制御を行う「CNC=Computerized Numerical Control(コンピュータ制御)」が登場し、CNCを搭載した旋盤を「CNC旋盤」として、NC旋盤と区別するようになりました。

しかし現在では、NC旋盤といえばほぼ確実にコンピュータ制御であるため、NC旋盤とCNC旋盤はほとんど同義で使用されています。

NC旋盤の構造は?

NC旋盤の構造は、①機械本体②NC装置③操作盤④オイルユニット(油圧ユニット・潤滑油ユニット)⑤付属装置に大きく分けることができます。

NC旋盤の構造

①機械本体

機械本体を構成する主要部として、「主軸」「刃物台」「心押し台」があります。

機械本体

  • 主軸…工作物を掴み、回転させるための「チャック」を取り付けます。チャックの種類には「油圧チャック」や「コレットチャック」などがあります。
  • 刃物台…「切削工具」を取り付けます。刃物台の形状には「タレット型」と「くし型」があります。
  • 心押し台…長い加工物を支える役割をする「回転センタ」を取り付けます。

②NC装置

NC装置

NC装置は、工作物に対する工具の経路や加工に必要な作業工程などを数値情報で指令する制御装置です。

数値演算部やサーボ制御部などから構成されています。

③操作盤

操作盤

操作盤には、さまざまなボタンが並んでおり、NCプログラムの作成などの操作を行います。

最近では、タッチパネル式の操作盤を搭載した機械も増えています。

④オイルユニット(油圧ユニット・潤滑油ユニット)

オイルユニット(油圧ユニット・潤滑油ユニット)

油圧ユニットは、「油圧タンク」「油圧バルブ」「油圧ポンプ」で構成されています。

油圧タンクには「作動油」が入っています。

作動油は油圧ポンプで発生したエネルギーを伝達する役割を果たし、チャックの締め付けに使用されます。

潤滑油ユニット

潤滑油ユニットは、スライド等の移動するユニットに潤滑油を供給します。

潤滑油は移動する物体間の摩擦や摩耗を低減するために用いられ、NC旋盤の摺動面などに使用されます。

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⑤付属装置

付属装置

NC旋盤には、さまざまな周辺装置を付帯させることができます。

ワーク(工作物)を搬送する「ローダ」や、ワークをためておく「ストッカ」、切りくずを運搬する「チップコンベア」など、多種多様な付属装置があります。

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高松機械工業のNC旋盤

高松機械工業では、このNC旋盤を主力製品として製造・販売しています。

主軸・刃物台

主軸・刃物台形状による分類

主軸と刃物台が1つずつ付いたシンプルなXシリーズから、主軸と刃物台が2つずつ搭載され2台分の生産能力を持つXWシリーズまで、多様な構造のNC旋盤があります。

刃物台形状

刃物台形状による分類

複数の刃物が取付可能で多工程の加工に最適な「タレット型」、割出時間が高速で繰り返し精度に優れた「くし型」両方のタイプのNC旋盤を製造しています。

チャックサイズ

チャックサイズによる分類

工作物をつかむためのチャックは、工作物のサイズによって異なります。

高松機械では、小物加工に最適でコンパクトな3インチチャック機から、大径ワークにも対応した10インチチャック機まで、約30種類をラインナップしています。

>>チャックサイズによる分類を見てみる

付属装置

ローダなどの付属装置

また高松機械工業のほとんどのNC旋盤は、ローダなどの付属装置が付いた状態で出荷されます。

お客様のご要望に応じてNC旋盤をカスタマイズできる点が強みです。

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まとめ

今回は、「NC旋盤」とはどのような機械なのか、汎用旋盤やマシニングセンタとの違いとともにご紹介しました。

ポイントをまとめると次のようになります。

ポイント

  1. 旋盤は工作機械の一種。丸棒状の工作物を加工する際に用いられる。
  2. その中でも「NC旋盤」はNCプログラムを入力して操作する。
  3. NC旋盤は機械本体、NC装置、操作盤などから構成され、特に主軸刃物台は機械本体の主要部を担う。
  4. 高松機械工業では、多種多様なラインナップからお客様に合ったNC旋盤をカスタマイズしてご提供している。

NC旋盤の基本について、お分かりいただけたでしょうか。

次回は、実際にNC旋盤を使ってどのような加工ができるのか、について解説します。

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